植生の変遷と問題点
変化その1「アカマツが枯れていく!」
京都三山の象徴的な木であったアカマツが昭和50年頃(1970年頃)から突如として枯れはじめ,急速に姿を消しています。これは,北米から侵入したマツノザイセンチュウという線虫がマツノマダラカミキリという昆虫によって,マツに運ばれることによって引き起こされます。
マツノザイセンチュウはマツの幹の中で増え,水の通り道を塞ぎ,マツを枯らしてしまうのです。
変化その2「増殖するシイ林」
昭和50年代後半(1970年代後半)から,新緑の三山にシイ(コジイ,スダジイ)の黄白色の花が目立つようになりました。集団枯死したアカマツ林の後に,常緑広葉樹のシイが増えているのです。明治時代から「禁伐」となっている東山連峰のかなりの部分が,すでにシイ林となっています。
シイが繁茂しすぎると,林床(森林の地表面)に光が十分に届かなくなり,草本や次世代を担う稚樹が育ちにくくなります。
変化その3「ナラ枯れ」
三山では,平成10年代の後半から20年代(2000年代)にコナラやシイが突然赤く枯れるナラ枯れという現象も拡がりました。これはカシノナガキクイムシという昆虫がナラ菌という病原菌を木の中に運び込むことによって引き起こされる樹木の伝染病です。
1990年頃から日本海側を中心に被害が増加し,さらに南下して京都盆地,大阪や奈良にも広がりました。
変化その4「シカが森を食べ荒らす」
ニホンジカによる森林植生の食害は,京都三山に深刻な影響を与えています。鹿が樹木の新芽や森林の地表面の植物を食べ尽くしているのです。森の中では,鹿の食べない有毒植物などだけが繁茂して昆虫の種類が減り,虫を食べる野鳥などの生物の多様性に影響が出ています。また,表土が流出し,山腹崩壊などの災害を起こす可能性もあります。
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